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平面図の生成

「平面図とは、床から一定の高さで建物を水平に切った断面である」— これは半分だけ正しい。立体を切っただけでは平面図にならない。

この頁は、切っただけでは出てこない四つを挙げ、それが導出の設計にどう跳ね返っているかを説明する。導出が返すものの一覧は 平面の形 にある。

切断は入力であって、導出の中身ではない

まず切断そのものについて。平面は「そのレベルで切った断面」であり、切断面の高さは FL からの一定の高さ (既定 1200mm) である。

この高さは導出の入力であって、導出が決めることではない。切断高さを変えれば、腰窓が切れたり切れなかったりする。同じ切断高さを与えれば、同じ平面が出る導出の決定性 の約束は、この入力を固定した上での約束である。

切っただけでは出てこない四つ

1. 扉の軌跡

扉の開く軌跡は、動きの記号であって、そこに物は無い。どれだけ精密に切っても、空気を切っただけで円弧は出てこない。

同梱の例で数えると、平面に出る軌跡は 1,516 件ある。それは全部、断面ではなく記号である。

2. 上部吹抜けの投影

切断面より上にあるものが、下階の平面に落ちる。吹抜けの輪郭がその代表である。

これは実際に落ちた。同梱の例には上部吹抜けの投影が 29 件あるが、ある時期のビュアーの平面からは一つも出ていなかった。「立体から切れ」という指示だけを渡していたので、切断面より上のものは当然のように消えていた。

落とすのは導出された形である。割付 (書かれた矩形) で落とすと、斜めの線で切られた吹抜けが切られる前の姿で出る。

3. 切断線

階段が切断面を跨いだ位置に引く線。「切れたことそのもの」の位置であって、物ではない。

作図慣習ではここに平行な二本の斜線を引くが、二本であることは見た目である。導出が返すのは、走りの幅いっぱいを横切る一本の線分だけで、二本にするか記号を変えるかは描画側の判断である。

4. 下りる走り

切断面より下の見えがかり。降り階段は切断面の下にあるので、断面には現れない。それでも平面図には描かれる。

koyu はこれを、同じ枠を共有する双子の上る走りが「隠した残り」として出す。双子であるには、矩形の四座標が一致し、向き・形式・装置・部品数がすべて一致していなければならない。位置だけで照合すると鏡像が出る。

だから形は分類つきの 2D 集合である

四つを「各自が発明する」に任せれば、消費者ごとに違う平面図が出る。それは 導出の決定性 に反する。

だから導出は平面を分類つきの 2D エンティティ集合として返す。各要素が (幾何・分類・対象の同一性) を持つ。

分類何か同梱例での件数
cut切断された断面20,782
above切断面より上のものの投影2,460
below切断面より下の見えがかり845
swing動きの軌跡1,516
anchor記号を置く座179

分類が形の側にあることが要である。「これは断面、これは投影」という判断は、切断高さと z 範囲の比較から決まる — つまり導出の仕事である。描画側に任せれば、比較の閾値が実装ごとに違って同じ原本から違う図が出る。

anchor は面白い立ち位置にある。記号そのものは見た目だが、記号を置く座は形である。「ここに上り下りの注記が要る」という位置は導出が決め、「UP と書くか矢印を描くか」は描画が決める。

壁は最初から穴の空いた区間の列である

平面図の描き方で古くからある手が、「壁の黒帯を紙の色で塗り潰して開口に見せる」である。koyu にはこの操作が無い。

壁は開口で割られた区間の列として現れる。線分に載る開口を順に並べ、開口の間には全高の区間を、開口の位置には腰壁 (床から開口の下端まで) と垂れ壁 (開口の上端から天端まで) を残す。

平面でも立体でも、壁は最初から穴の空いた区間の列である。塗り潰しという操作が存在しないので、塗り潰し漏れも存在しない。

そして黒帯が本当に Form の「切られた区間」であることは検査されている — 紙と世界を結ぶ相似変換を外接枠から解き、四辺形の集合として突き合わせる。

描けないことと、書けないこととを混同しない

描画の面は凍らない。寸法線も、通り芯記号も、建具の作図表現も、縮尺も、勾配屋根も、精度は少しずつ上げればよい。

ただし条件が一つある。描けないことが、書けないことと混同されないこと。何を描き、何を描かないかを列挙して持たなければ、描画側の限界が記述側の限界として原本に持ち込まれ、原本が表現に引きずられる。

この条件があるので、平面が貧しいことは記法を変える理由にならない。変えてよいのは見た目であって、形ではない。

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